掛かり稽古の意味〜’合気’の稽古で掛かり稽古を行う理由〜

上達論

今回書く内容は、’合気’を取れる人と取れない人の差は何かと考えてきた結果、
辿り着いた私の推測の一つです。

そのため、この推測が合っているのかは分かりません。

この様に考えることも出来るという具合に、軽い気持ちで読んでいただければと思います。

’合気’を習得する上で何が大切かというと、実際に’合気’の技を自分の身体に
受けて、自分の身体を通して、’合気’を理解する
ということです。

’合気’を理解すると言っても、’合気’の技を1回や2回受けた所で理解することは難しく、
多くの人は、何千回、何万回と数えきれないほどの回数、’合気’の技を身体に受けて、
初めて’合気’を理解することが出来ます。

’合気’を取れる人と取れない人の差は、結局のところ、’合気’を理解出来るだけの回数、
’合気’の技を身体に受けたかどうかだと私は考えています。

何十年と稽古をしていても、’合気’が分からず、何も変わらない人がいます。

おそらく、稽古年数が長くなるにつれて、様々な術理に出会いますので、
本人からすると、何かしらの前進しているという手応えがあるのだと思いますが、
本質的には何も変わっていません。

長年稽古しているわけですから、それなりの数、’合気’の技は身体に受けているはずです。

では、なぜ、’合気’が分からないのでしょうか?

それは、’合気’の掛かり具合が浅いからだと私は思います。

’合気’の掛かりが浅いと、’合気’の理解は浅く、表面的なものとなります。
そうすると、本質的なことが分からず、’合気’習得に至りません。

これは、忖度して技が掛かりやすくするということではなく、
正しく技を受けることが大切だという話です。

私が見る限り、’合気’の掛かりが浅い人というのは、正しく技を受けることが出来ていません。

何かしらの理由があって、’合気’の掛かりが浅くなっています。
それは、取り(技を掛ける人)に意識が向いていなかったり、
腰が引けていたりと人により様々です。

しかし、共通していることは、結果として、’自護体’になっているということです。

’自護体’になっていると、’合気’が掛からないか、掛かりが浅くなります。

いつまで経っても、’合気’が習得出来ない人というのは、
受けの際に’自護体’となってしまっており、それがいけないわけです。

’合気’を習得するための稽古として、掛かり稽古があります。

なぜ掛かり稽古を行うかといえば、頭で考えずに’合気’の技を行うことを身に付けるためだと、
私は考えていますが、それにプラスして、もう一つ意味があるのではないかと
最近考えるようになりました。

入門して間もない人というのは、どうやって技を受けたら良いのか分からず、
’自護体’となっています。

これは仕方がないことですが、人によっては、その頃の技の受け方が癖になりますので、
入門初期の頃に’自護体’になる癖がつかない様にする必要があります。

そうはいっても、技の受け方というのは一朝一夕で身に付くものではありません。

きちんと掛かっていける様になるには、相応の時間を要します。

ですが、相手にしっかりと意識を向けるということは入門初期の人にも可能です。

’合気’の技の場合、意識が相手に向いているかどうかで掛かり具合が随分と変わります。

理想は、意識も身体もどちらも正しく相手に掛かっていくことですが、
それが出来ないのであれば、意識だけでもしっかりと相手に向けて
掛かっていかなければいけません。

掛かり稽古では、ある程度の勢い(速さ)で掛かっていくため、
自然と取りに意識を向けることになります。

また、掛かり稽古では上級者の作るペースで取りに掛かっていくため、
初心者は変に腰が落ち着いた状態で受けを取ることが出来ないため、
技が掛かりやすくなります。

掛かり稽古は、’自護体’となる癖がつくのを防ぐには、
ベストではありませんが、ベターな稽古法だと思います。

そうは言っても、掛かり稽古を行なっているのに、
’自護体’になる癖がついてしまい、’合気’が分からない人は多くいます。

それらの人達の特徴は、取りに意識を向けることなく、
よそ見をしている様な状態で、ただ近付いてきて、形だけの受けを取っていることです。

それが原因で、’合気’が分からないわけですが、
なぜその様な受けをしているかというと、
掛かり稽古のペースが遅いためだと私は考えています。

ペースが遅いために、周りに注意を向ける必要がなく、
集中していない状態で受けを取ることが出来てしまうからです。

掛かり稽古を行う場合は、集中状態に入るような速いペースで行うことが重要で、
そうすることで、受けを取る際に’自護体’となることを防げるのではないかと考えています。

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