日々の稽古の中で、自分の身体の状態が相手に影響を与えていることをよく実感します。
腕を掴まれた時に、緊張して自分の身体に力が入ると、相手もその力に反応して力が入ります。
この相手に力が入るという現象は、色々な説明が出来ます。
力学的な現象としての説明もあれば、生理的な反応として説明することもありますが、
私は、合気を習得するには、生理的な反応としての理解が大切だと思います。
合気の技を稽古していると、よく相手と力が拮抗して、膠着状態となることがあります。
これは稽古をしていると誰もが陥る状況で、この状態にならないようにしたいわけです。
そのために、相手に力を入れさせない様にするための工夫をします。
相手の力とぶつかると、それを取っ掛かりとして相手が押し返してくるため、
相手の力とぶつからないようにしたりします。
ここで私には、合気の技を行うために、気をつけた方が良いと考えるポイントがあります。
それは、相手に腕を掴まれる前の自分の身体の状態です。
相手に腕を掴まれる前であっても、自分の身体に力が入っていると、
それだけで相手は無意識に力みを感じて、力を入れやすくなります。
おそらく、これは身体に力みがあることでそこを取っ掛かりにして
押せるために力を入れやすくなるのだと思います。
また、相手に腕を掴まれる際に、自分の重心が前に移動した場合も同様に
相手は力が入れやすくなります。
相手の力に負けない様に無意識に自分の重心を前に移動させ、身構えている場合が
ほとんどだと思いますが、その動きにも相手は無意識に反応します。
自分の重心が前に出ると相手はしっかりと受け止めてもらえると感じるのか、
安心して力が発揮出来る状態となります。
そのため、技を行う前には、自分の身体が緊張による力みがない状態としなければいけませんし、
無意識に相手を受け止めようとする動作をしないようにする必要があります。
ここまでは、自分の身体の状態が相手に無意識に影響しているという話でしたが、
これは裏を返せば、自分も相手の身体の状態に影響されているということです。
相手に腕を掴まれる前であっても、相手の身体に力が漲っていると、
それに無意識に反応して、自分の身体にも力が入りやすくなります。
そのため、自分が技を行う際には相手の身体の状態に影響を受けないように
努めなければいけません。
不思議なもので、相手と接触する前であっても、お互いの身体の状態に無意識に
反応し合っており、それが技の成否に影響しています。
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