’合気’の習得には、実際に技を掛けられ、肌で感じることが大切だと言われます。
そうは言われても、長い間意味が分からず、悶々としてきました。
肌で感じると言われても、自分が取り(技を掛ける側)になると、どうしていいか分かりません。
自分が受け(技を掛けられる側)の時には、気付くと自分の身体が反応して、
体勢が崩れていたので、再現のしようがありませんでした。
そのため随分と思い悩み、それでも何とか合気を身に付けようと手掛かりを求め、
他流派の書籍についても読み漁りました。
技の手順や理論等、手広く学びましたが、やはり、’合気’については分かりませんでした。
現在はありがたいことに、おぼろげながら、’合気’の輪郭が見えてきましたが、
そうすると、肌で感じることが大切だと言われる意味が分かってきました。
例えとして適切かは分かりませんが、他人があくびをしているのを見ると、
自分もあくびをしてしまう、あくびがうつるという現象があります。
これはどなたにも経験がある現象だと思いますので、
すぐに理解していただけると思います。
これを仮に今までに一度もあくびをしたことがない人に説明した場合、
理解してもらうことは出来るでしょうか?
おそらく、理解してもらうことは出来ないと思います。
あくびは自然に出るものですので、いくら理論・理屈を教えても、
あくびが出来る様にはなりません。
形を真似して、あくびに近いものにはなるとは思いますが、
自然に出るあくびとは差異があるはずです。
そうすると、あくびがうつるという現象を理解してもらうことは出来ません。
’合気’の習得はこれに近いものがあるように感じます。
自然な生理現象を利用しているために、理論・理屈をいくら学んだとしても出来る様にはならず、
しかし、自然な生理現象であるがために気付くと出来る様になっている類のものです。
そのため、’合気’を習得するために必要なことが、
’合気’の技を受け、肌で感じるということなのだと思います。
頭でっかちな現代人には、苦手とする部分かもしれません。
前置きが長くなりましたが、今回考察したいのは、’合気’の技に対する感応性が
’合気’習得にどのように影響するかということです。
’合気’の感応性は、分かりやすくいうと、’合気’の技を掛けられた時の反応の出やすさです。
入門して間もない頃から合気の技に対する感応性が高い人もいますし、
入門して間がない頃には感応性が低くくても、
稽古が進むにつれて、感応性が高くなっていく人もいます。
ここで、私が今までお会いした方々をもとに、’合気’の感応性の高さが
’合気’習得にどの様に影響を与えているか考えてみたいと思います。
師を含め、’合気’を習得していると思う方や’合気’を習得しつつあると
思う方が13名ほどいます。
そのうち、1名については、受けを取っているところを見たことがないため、
残念ながら、’合気’の感応性については分かりません。
残りの12名中、11名は、’合気’の感応性が高い方達です。
あくまで私の基準による判断になりますが、11名の方々は明らかに
他の人より感応性が高いと感じます。
’合気’の感応性が高くても、’合気’が習得出来ない人もいますし、
サンプル数が少ないため、可能性の話になってしまいますが、
’合気’の感応性が高い方が、’合気’を習得するには有利なのかもしれません。
では、’合気’の感応性が高いことが、’合気’習得に有利に働く理由は何でしょうか?
私は、次の理由があるのではないかと考えています。
’合気’の技に掛かりやすいために、技を信じることが出来る。
身を持って、’合気’の技の有効性を感じることが出来るため、
迷いなく、’合気’の技の稽古に邁進出来ます。
多くの人は、’合気’の技の稽古をしていても、技を信じることが出来ず、
力技に走ってしまうことがよくあります。
そのため、’合気’の技を信じることが出来るというのは、大きなアドバンテージです。
’合気’の反応が大きく出るために、自分の身体を通して、’合気’の技を直観的に理解しやすい。
’合気’の技は、理論・理屈を考えても出来るようにはなりませんが、
’合気’の技を習得するために理解は必要です。
’合気’の感応性が高いと技の手順ではなく、
感覚で理解出来るようです。
’合気’の直観的な理解により、’合気’の技とそれ以外の技を区別することが出来る。
一見、’合気’の技の様に見えても、’合気’の技になっていないことがあります。
似て非なる技を見分けることが出来ないために多くの人は、
迷ったり、誤った方向に行ってしまうことが多々あります。
しっかりと技を区別出来るというのは、それだけで、’合気’習得の可能性を高めます。
自分に’合気’の技を掛けられた感覚で技を再現することで’合気’を習得している。
直観的な技の理解により、’合気’の技を掛けられた状態を感覚的に再現出来る様です。
学ぶことは真似ぶことと言われますが、正しい学びの方法が、
’合気’習得の近道なのかもしれません。
以上の理由から、’合気’の感応性が高いことは、’合気’習得に有利に働くと思います。
では、’合気’の感応性が低いと’合気’が習得出来ないかというとそうではありません。
’合気’の感応性が低くても、’合気’の技は掛かります。
ただし、反応の出方が小さいため、’合気’の技を掛けられた時の自分の身体の状態を
より注意深く観察し、分析する必要があります。
あまり表には出てきませんが、私は、’合気’の感応性が低いことが、
’合気’習得に有利に働く部分もあると考えています。
その事については、また別の記事で書きたいと思います。
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