合気よもやま話〜パフォーマンスに見える技について〜

合気

SNSで公開されている合気系武道の動画を見ると、指一本で成人男性を
軽々と投げるような技があります。

動画で公開している以上、パフォーマンスで行っている部分はたぶんにあると思いますが、
それがヤラセかと言われるとそうではありません。

力で相手を投げるのではなく、技術を用いて投げていることを端的に示すために行っているだけで
きちんと技を掛ければ、指一本で成人男性を投げることは十分に可能です。

それらの技はパフォーマンス用の技に見えますが、私の学んでいる流派では、
普段の稽古でも当たり前に稽古しており、パフォーマンス用の技というわけではありません。

技を使わなければいけない危ない場面に遭遇した時には、まず使うことのない技ですので、
普段の稽古でその様な技を稽古していることに疑問を持つ方もいるのではないかと思います。

合気系武道では、使われることが無い様な技を稽古している事がよくありますが、
それはパフォーマンスや遊びで稽古しているわけではありません。

稽古を行うきちんとした理由があります。

’合気’の技というのは、形が定まったものではなく、ルール通りに身体を動かすことで
技となるものです。

今まで誰もやったことが無い動きであっても、それがルールに則った動きであれば技となります。

そのため、新たに技が生まれるということもありますし、一つ一つの技をカウントすると
膨大な数の技が存在することになります。

’合気’の技を実戦で使うということは、一つ一つの技を覚えて対応するということではなく、
身体の動かし方のルールを身に付け、動けば技になるという身体で以て対応するということです。

実戦で即使える様な技もあるため、誤解されることも多いですが、大切なのは技を覚えること
ではなく、ルールに則った身体の動かし方を覚えることになります。

そして、普段稽古している技というのは、その身体の動かし方のルールを学ぶためのものです。

全身、どこをどのように持たれても技を掛けられるルールを学ばなければならず、
また、その様にして学ぶことで全身に共通した理を見い出すことが出来ます。

パフォーマンスの様に見える技はそのルールを見つけるために必要な技で、
そのため、普段の稽古でも練習しています。

実戦で使うことを想定した技だけを稽古した場合、おそらく技の理解が遅くなり、
また、理解も浅いものになるのではないかと思います。

’合気’の技は膨大な数がありますが、理解を深めるためには、出来るだけ多くの種類の技を
稽古することが重要です。

稽古の目的が一般的なイメージと違っているため、奇異に見えますが、
理由が分かれば納得いただけるのではないかと思います。

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