合気よもやま話〜力比べになってしまう原因は何か?〜

合気

私は力ではなく技で相手を何とかしたいと思い、合気系武道の稽古に励んできました。

しかし現実は甘くなく、どれだけ稽古をしても長い間力を使っている感覚が
無くなることはありませんでした。

合気系武道で有名な合気上げにしても、相手の力とぶつかって力比べとなり、
膠着状態になってばかりいました。

技が上手くいかなかったのは、技術的に未熟であったことも原因ですが、
今考えると私の認識が間違っていたことも原因であったと思います。

人を投げようとした場合、必要な力はどれくらいでしょうか?

体重が60kgの人であれば、60kgを持ち上げる力が必要かというとそうではありません。

そのために武道・武術では、足を掛ける等して小さな力で投げられる様に
色々と工夫するわけです。

ここまでは武道の経験がない人でもご理解いただけると思います。

では、体重の半分の30kgなのか?
それとも体重の3分の1に当たる20kgなのか?

実際のところは分からなくても、感覚的には最低でも10kg持ち上げるぐらいの力は
必要だと考えるのではないでしょうか?

私もその様に考えていましたが、結果的にはその認識が間違っていたと思います。

合気上げ等の稽古をしたことのある人であれば分かると思いますが、
相手の腕を押さえる場合、どの様にして抑えているかというと
相手の腕に力が入ったことを感じ、そこを拠り所にして押さえます。

逆に言うと、その拠り所が無ければ押さえることが出来なくなるということです。

この辺りの話は、言うは易し行うは難しということになりますが、
これは理屈だけでなく、本当にその様になります。

拠り所となる部分を作らずに動くというのは、それ自体も技術が必要となるものですが、
ここで問題となるのは認識により生まれる違いです。

どの様な認識で稽古するかによって、その結果は大きく変わってきます。

相手が拠り所とする部分は、僅かな力でも発生します。

これは自分が相手の身体を掴む場合でも同じで、自分では力を入れずに掴んでいるつもりでも、
相手は反応し、力を入れるための拠り所とします。

掴む場合には、握力ということになりますが、その力は私の感覚では何gという
僅かな力で十分に技を掛けて相手を投げることが出来ます。

一般的な感覚であれば、相手を掴んで投げる場合、数十kgの握力が必要となり、
実際に技を行う時に必要な力とは大きな隔たりがあります。

つまり、一般的な感覚で稽古を行う限り、相手が拠り所とする部分を作ってしまうほど、
力を入れ過ぎてしまうということです。

勿論、ただ力を抜いただけでは技とはなりません。
守らなければいけないルールに従って身体を動かす必要があります。

しかし、前提となる認識が違うとそのルールまで辿り着くことが出来ません。

感覚としては、相手に触れているだけ。
(それでも人によっては力が入り過ぎている可能性があります。)

その程度の力で相手を投げるには十分だという認識で稽古に取り組むことが大切となります。

ちなみに誤解の無い様に書きますが、私は力はあった方が良いと考えています。
60kgでも80kgでも持ち上げることが出来るに越したことはありません。

力の使い方やタイミングの問題で、集中して瞬間的に大きな力を出せることは重要だと思います。

力比べをせずに技として成立させるためには、相手の拠り所となる部分を作らない様にすることが
必要で、そのためには一般的な感覚で力を入れてはいけないというだけです。

認識が違っていることで、スタート地点に辿り着けなくなることもありますので、
ご注意いただければと思います。

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