自分の間合いはどれぐらいの距離だと認識しているでしょうか?
手を伸ばして届く範囲を自分の間合いと考えている人もいれば、
そこから一歩大きく踏み出した範囲を自分の間合いと考えている人もいます。
足を使うにしろ、使わないにしろ、瞬間的に自分の手が届く範囲を
自分の間合いと考えている人が多いと思います。
間合いというと、自分が攻撃・防御が出来る距離ですので、
その様に考えるのも間違いではありません。
しかし、それで自分の力が十全に発揮出来るかというとそうではありません。
武道・武術では、腕力ではなく身体の力を使います。
なぜなら、身体の力を使うことにより体格差を覆すことが可能となるからです。
身体の力を使うといっても、それは単純に腕の筋肉よりも身体にある筋肉の方が大きいため、
その大きな筋肉を使うという話ではありません。
その様な面も確かにありますが、身体から発する筋力以外の力も含めて全て使います。
技とするためには、身体の力を使うことが必須となります。
そして、基本的には腕を伸ばした状態では、身体の力を使うことは出来ません。
長じるにつれて、腕を伸ばした状態でも身体の力を使うことも可能になりますし、
流派によっては、腕を伸ばした状態を基本とすることで
身体の力の使い方を学ぶところもあります。
これは技の相性の問題になりますが、’合気’の技の場合は、肘を身体に付けた状態の方が
身体の力の使い方を学びやすいと思います。
肩を落とし、脇を締め、身体に肘が付いた状態を基本として技を行うことで、
身体の力を使った技となります。
そして、その状態を維持して技を行うことを考えると自分の間合いというのは
自分が思っているよりも狭くなります。
相手に届く距離が指先から肘までの距離となりますので、
一般的な感覚からすると窮屈と思えるくらいに狭いです。
そして、その間合いで技を掛けるので、仕掛けるタイミングは
自分が思っているよりも遅くなります。
私は随分長い間、自分の間合いを勘違いしており、
誤ったタイミングで技を仕掛けていました、
相手がもっと近付いてきたタイミングで技を仕掛けないといけないのに、
遠いところで技を仕掛けて体勢が崩れ、腕力を使い、技に失敗するということを
繰り返してきました。
正しく技を稽古するためには、自分の間合いを正しく認識することが大切です。
正しく間合いを認識することで然るべきタイミングで技を仕掛けることが出来、
それが技の習得を早めることになります。
そして、ここで注意しなければいけないことがあります。
肘を身体に付けた状態で技を行うことで、身体の力を使うことが可能となりますが、
前述した様に筋力で行うということではありません。
技を行うにしても筋力で行うと、それは力む癖を付けているだけとなってしまいますので、
力まずに技が要求する動きを行うことが大切となります。


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