武道の稽古には、相手が武器を持って向かってくるというものがあります。
例えば、相手が刃物を持っていた場合、それだけで身がすくみ、
いつも通りに身体を動かすことは出来ません。
相手が刃物を持っていると、それだけで怖いですし、とても平常心ではいられません。
その恐怖を乗り越え、平常と変わらず動くにはどうしたらいいのか?
稽古をしたからといって、簡単に乗り越えることが出来るものではなく、
常に自分の心と向き合うことが求められます。
怖さがあるというのが、私は武道の良い所であり、また必要な部分であると思います。
武道では、心・技・体の大切さが説かれていますが、
これも怖さがなければ、心の成長は得られません。
怖さが無ければ、弱い自分と向き合う必要もなく、
武道の稽古はともするとただの運動となってしまいます。
私も未だに身がすくみますし、全然平常心を保てるようにはなりません。
本当に自分は弱いと思いますし、情けないとも感じます。
怖いものは怖い。それが本音です。
しかし、それを乗り越え、どんな状況でも平常心を失わずに動けるようになる。
それが目指すところなのだと私の師は言っていました。
平常心を維持するというのはとても難しい事ですが、それは日常生活の中で
自分の力を十全に発揮するための助けとなります。
恐怖を乗り越えることにより、平常心の維持の仕方を学べることが、
現代で武道をやる意義の一つだと思います。


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