合気よもやま話〜’合気’という技法を見極めるために必要なこと〜

合気

長年合気系武道を修行してきましたが、そんな中で如何ともし難く、
大変歯痒く思っていることがあります。

それは、’合気’という技法の評価についてです。

SNS上には、多くの’合気’を使った技の動画が公開されていますが、
それらの動画を見た人の中には、ヤラセと断じる人も少なくありません。

確かにヤラセを行なっている動画もありますが、
ヤラセではない本物の’合気’の技を公開している動画もあります。

残念ですが、それらの動画は一緒くたに評価されています。

更に悲しく思うのは、本物の’合気’の技の動画は評価されていないのに、
’合気’を謳いながら、’合気’が使われていない動画の方が評価されていたりすることです。

技を体験するために道場を訪れる人もおり、それらの人の中には、体験した技をもって、
’合気’の技を使えないと判断する人もいます。

体験してから判断を下すのは立派だと思いますが、
私はこれについても思うところがあります。

一般的によく見られる勘違いですが、実際に技を体験することで、
その技について判断することが出来ると思っています。

’合気’の技を体験することで、個人の感想を持つことは出来ますが、
一度体験しただけでは、’合気’という技法の真価を見極めることは出来ません。

’合気’という技法を初めて体験して、凄いと思う人もいれば、
大したことがないと思う人もいます。

素養がなければ、両者の持つ感想が違っていたとしても、
どちらも真価がわからないことに変わりはありません。

その技法の真価を理解するためには、それ相応の素養が必要です。

結局のところ、’合気’という技法の真価といかなくとも、ある程度の価値を理解するには、
一定期間の稽古が必要となります。

’合気’という技法についていうと、現在の私の理解では、
どんな人にでも掛かるというものではありません。

これが、’合気’という技法が使えないといわれる一つの原因だと思います。

’合気’の技は逃げ腰の人には掛かりませんが、体験で道場を訪れる人の中には、
受身を取れない人も多く、往々にして逃げ腰になっています。

また、他武道の経験があり、受身が取れるという方の場合、
試そうという気持ちが強く、技が掛からないように逃げようとする人もいます。

逃げようとする人に技が掛からないと聞いて、’合気’という技法は
やはり使えないと考える人もいると思いますが、私はそうは思いません。

逃げようとする人に無理に技を掛ける意味はありませんし、
危急の場合に相手が技から逃げようとする行為は、
こちらが一方的に攻めることが可能な状況となるからです。

私の今までの経験では、’合気’に掛からない状態というのは、
’合気’以外の攻撃にはまるで無防備です。

そのため、私としては、’合気’の技が掛からないというのは、
誇れるものではないと考えています。

’合気’という技法には、稽古すればするほど世界が広がるような奥深さがあります。

恥ずかしながら、私は長年稽古してきたにも関わらず、
最近になってようやく分かったことがたくさんあります。

同じことを習っていたとしても、理解出来るタイミングというのは、人それぞれで、
勘が鈍い私のような人間は、今頃になって分かる様になってきました。

’合気’という技法を理解するには、稽古をするしかありませんが、
それでも数年は必要だと思います。

’合気’という技法は大変分かりにくい技法ですので、使えないと判断する気持ちも
分かりますが、動画を見たり、体験入門して、安易に’合気’という技法を使えないと
判断しないでいただけたらと思います。

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