武道・武術では’達人’と呼ばれる人々がいますが、どうすれば、’達人’へと至れるのでしょうか?
今回は、私が今までにお会いした’達人’と’達人’に至っていなくても、
明らかに他の人とは違い、技を得ていると感じる人の特徴から、
’達人’へと至る方法を考察してみたいと思います。
’達人’や高名な先生に習ったからといって、技を習得することが出来るわけではありません。
では、技を習得出来る人と出来ない人との差は何なのでしょうか?
個人の資質や稽古への取り組み方など、色々とあると思いますが、
私が今までお会いしてきた方々を見る限り、以下の点が大きく左右しているように思います。
【技が出来る人の特徴】
1.先生を慕っている。
1については、ちょっと意外に思われるかもしれませんが、
尊敬していない先生の下で学んでいる人は、存外多くいるように感じます。
高名な先生の下には技を求めて人が集まりますが、その時点では敬意はあっても、
慕うという思いには至っていないことが多いと思います。
習い毎として割り切っている方の中には、道場が近かったという理由で通い始め、
そのまま先生について、何も思いを持つことなく、通い続けている方もいます。
技を習うだけなら、先生に対してどのような思いを持っていても
関係ないと考える方もいらっしゃるかもしれません。
先生を慕っていなくても、技を習得出来た方もいると思いますので、
それが必ずしも必要ではないと思いますが、
私が今までお会いしてきた方々で、出来ると感じる方については、
傾向として、先生を慕っている方が多いです。
では、なぜ先生を慕っていることが差を生むのでしょうか?
一つは、慕っている先生の言う事には、素直に従えるということがあると思います。
素直に従える分、先生の教えをそのまま吸収出来るため、習得の具合が変わってきます。
二つ目の理由は、先生を慕っていると、どこかのタイミングで、
その先生の技を正しく伝え、残さないといけないという思いが生まれてきます。
技が卓越しているという前提は必要だと思いますが、先生を慕っているとその卓越した技を
残さないといけないと考えた結果、正しく技を行うことを心掛けるようになります。
そうすることで、正しく技が身につき、習得出来ることになります。
武道・武術の稽古をされている方の中には、元々習っていた武道・武術があり、
それを発展させるために他流派の門を叩かれる方もいます。
そういう方は、どうしても習った技をそれまで自分の培ってきた技術に
どう取り入れるかという発想になりますので、先生から素直に技を受け取ることが出来ません。
そのような方でも技を習得される方はいらっしゃいますが、
やはり、素直に受け取る方に比べると大変だと思います。
【技が出来る人の特徴】
2.本心から技を求めている。
武道・武術を始める理由は、人により様々ですので、稽古している人の中には、
特に技を求めていない人もいます。
合気系武道の場合だと、’合気’という不思議な技に触れ、稽古を楽しみ、
それで満足している人もかなりの数いるように感じます。
技を習得したいと言っても、人により、その思いの強さは違っており、
思いの強さにより、稽古への取り組み方が変わり、差を生みます。
ここまで書いたことから、達人へと至るにはどうすればよいかというと、
自分が習いたいと思う流派があるのなら、慕うことの出来る先生を探し、
弟子入りするのが、最も良いと思います。
三年かけても良師を探せと言われたりしますが、それは真実だと感じます。
コメント